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2006年12月16日 (土)

メリーゴーランド

荻原浩の「メリーゴーランド」読了。解説に『さわやかで苦い小説』と書いてあったが、主人公が気の毒で歯がゆくなるくらいだった。

市役所の人たちの生態がかなり容赦なくデフォルメした描写がされていて「いくらなんでも そこまでひどくはないだろう」と心の中で突っ込みながら読んでいて、ハタと思い出してしまった人がいる。

その人も役所勤めで実家の母の知り合いの夫だったのだが、片道徒歩30分の道のりを毎日歩いて通っていた。そのコース上に実家があって、うちの前をその人が通るのが毎日午後5時18分だったのだ。それで毎日5時きっかりに退庁して来るというのを町中の人が知っていた。だって商店街だから店の人たちは外をよく見ているものなのだ。朝は毎日8時42分に通るとのことで「9時きっかりに入るんだね~」と言っていた。あだ名があって『時計おじさん』。「区役所の人間は楽だ」というのの例にされていた。奥さんはそれをすごくいやがっていて、うちに来た時に「夏なんかまだ明るい時に帰って来るから目立ってしょうがない。頼むから同僚とお茶飲んだりお酒飲んだりパチンコしたりしていいから暗くなってから帰って来てくれって頼んでいるんだけど友達もいないし趣味も何もないからだめなの」と言っていたのを聞いてしまったことがある。

「メリーゴーランド」にも同じような人が出てくる。5時に退庁するために4:45になると帰り支度を始めるのだ。「ほんとかい?」と思いながら読んでいて時計おじさんのことを思い出してしまったら深く深く頷くしかなかった。

時計おじさんも生きていれば今72.3にはなっているはずだ。ということは30年くらい前は40代前半。一般企業なら過労死しそうなほど働いている年頃だったのだなあと思うとやっぱり「公務員は楽」と言われても仕方なかったと思う。

いろいろ考えさせられる小説だった。

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