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2013年9月 2日 (月)

「風立ちぬ」

実に1年10カ月ぶりに劇場で映画を見た。

いろいろ考える所があって仕事を辞めたので気晴らししたかったのである。娘も今日はバイト休みだったので叩き起こして連れて行ったので 早朝割引料金1200円で観られた
scissors

なにかと話題の「風立ちぬ」。

喫煙シーンは確かにあったな。でも飲酒場面は皆無。禁煙学会の向こうを張って禁酒団体が表彰したらどうだろう(笑)

大正から昭和初期、戦前なんて知らないが 時代感が良く表現されていると思った。今 半藤一利の「あの戦争と日本人」を読んでいる最中だから なおさら時代背景がせまって来たのかもしれない。

宮崎駿すごいな、と思ったのは さりげない場面でほのめかすように出て来る短いエピソード部分のムダのなさ なのだ。

まず驚いたのは日本語の美しさ。親子兄妹の間でかわされる会話の丁寧なこと。庶民階級との言葉遣いの違いから まだ階級社会だったことがわかる。言ってみれば江戸時代の武士階級の家庭みたいな会話をしている。江戸時代には町人どうしは遠慮ない口のきき方をしていても「おさむらいさま」に対しては敬語を使って話していたわけで そういう空気が地続きで残っていた時代だったのだな。

ドイツに行って 夜聞こえて来る蓄音器の音楽を聞いて「『冬の旅』か」と言うのを聞いてビックリした。理系男子なのにシューベルトの歌曲を知っているとは
sign03。またカストルプさんが歌う『會議は踊る』の主題歌をみんなで一緒にドイツ語で歌うなど。あの時代の知識階級の教養の高さが偲ばれた。貧しい姉弟にシベリヤをあげようとして拒絶されるのは日本人の誇り高さを表現したかったのだろう。

カストルプさんは「魔の山」の主人公から取った名前だろうし、風貌はそのまんまゾルゲみたい。

今の子供たちは知らないかもしれないが「夏の雨は馬の背を分ける」と言う。雨に降られる場面で見てニヤリ。
余談だが 子供の頃親から教わった時に「馬の背を分ける」というのは馬の胴体を輪切り(いや前半分と後ろ半分てこと)にするのかと思ったら「右半身と左半身に分けるってこと」だと聞いて「エ~~」とビックリして以来おぼえてしまった言葉である。

滞在していた草軽ホテルは今人気のクラシックホテルを素朴にしたような佇まいで 明治期に建てられた木造洋館のモダンな雰囲気が富裕階級の生活を示唆するという具合。

これはもう完全に恋愛映画である。
あの時代の男女で あれだけストレイトに思いを口に出して行動に移すことができたというのが驚きだった。

ひとつ疑問だったのは あの時代の女性はハンドバッグを持たなかったのだろうか、ということ。サナトリウムから逃げて来る時も帰る時も手ぶらなのはなぜ?と思った。まあ「散歩」と言って出るんだとハンドバッグは持てないかもしれないが。

空が好きで飛行機が好きで好きでしょうがなかった少年が大人になって時代の要求でゼロ戦を設計しなければならなかった というあたりの葛藤は一切描かれていないから「戦争を賛美する映画」とか言われてしまうのだろう。高性能の飛行機を作りたい欲求の方が強くて
兵器を作ることへの葛藤がなかったかのように見えてしまう。「でも一機も帰って来ませんでした」という言葉には自分の設計した飛行機に対する愛着は見られても搭乗員や戦争犠牲者に対する気持ちは含まれていないように思える。技術者というのは自分の作ったものが大事で用途は別の人間の責任と考える傾向があるみたい だからあとになって慌てふためいてノーベル賞なんて作っちゃう人がいるわけだよね。

庵野さんの声優に関しては感想を控えさせてもらおう。素人起用という点では「トトロ」の糸井さんの例もあることだしね~。あれを彷彿とさせる、と言うに留めたい。菜穂子の顔だって時々クラリスに見えたし加代ちゃんはどう見たって成長したメイ(笑)

映像はキレイだったし 泣けて泣けて。

入りは半分(今日から2学期だもんね)で 中高年男性の割合がすごく多かった。出て行く男性のほとんどが白髪(笑)。今までアニメ見たことがない年代かもしれないのに その人たちに劇場に足を運ばせたことの意義も大きい。

これは小学生の子供には理解が難しい映画だと思う。

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